旅モロ藤沢へ湘南Luv 2023の旅

Episode 2: 湘南Luv 2023、本番当日。

えーと。時を戻そう。


姉の家は鉄筋コンクリート製なので、雨音はあまり聞こえない。

以前まで住んでいた小田原の僕の家は、思いっ切りトタン屋根だったので、雨が降れば降っただけバーバー音がした。小雨なら小雨、大降りなら大降りで天気の変化が伝わってくる。その雨音は、身を委ねているといつしか深い眠りに誘うホワイト・ノイズでもあった。


11月17日金曜日。目覚めると小雨が降っていた。外の様子を見ると一時はかなり降っていた様だ。ボーっとした頭で「雨、分かんなかったな」などと思った。

予報は13時ぐらいまでは雨。今日のミッションはおだわら泌尿器科・内科クリニックに、とある申請に必要な書類を発行してもらうお願いをしに行くだけだ。大した作業ではないが、小田原に来なければ出来ない重要なミッションである。15時のクリニックの午後の診察の始まる時間に行けばいい。

それまでは昨日の出来事の分のブログをアップするのに時間を費やした。

夜は姉、母、奥さんと4人で、小田百寿町店の寿司でディナー。小田百の寿司はクォリティが高いと前々から思っていたが、やはり高かった。本鮪の中トロと赤身が入って14貫ぐらいで税込1300円台だ。やっぱこっちの人間は魚を食べるのだ。何か当たり前の様な、変なこと言っている。

あ、因みに小田百(オダヒャク)というのは小田原百貨店というローカル・スーパーのことで、スーパーなのに百貨店とか言ってるのは、昔は小さなデパートだったからなのである。

余談である。

油断すると風邪を惹きそうな予感があったので早く就寝した。

いや、寿司の写真ちゃうんかいっ!!

11月18日土曜日。湘南LUV2023当日だ。

何だかワクワクする。珍しく奥さんもワクワクするらしく、15時頃の藤沢到着目指して、少し早めに姉の家を出た。今日は藤沢駅前の「8HOTEL」というホテルにお泊まりである。それがワクワクの大きな要因であることは言うまでもない。

出発前、小田原駅構内の「名代箱根そば」で昼食。食べたかったんだなー、この感じ。立喰蕎麦屋。名古屋にも栄にゆで太郎があることは確認済みだが、まだ行ってはない。

外国人も多いので英語表記もあるのだ。
かき揚げ蕎麦。至って普通です。それが旨い。

東海道線が上野から宇都宮線に乗り入れる東京上野ラインの籠原行きの各駅停車に乗り込んで藤沢に向かった。国府津駅を過ぎると西湘バイパス越しに一瞬海が見える。キラキラ光っとった。

二宮、大磯、平塚、茅ヶ崎、辻堂、と列車は進み、藤沢の駅のホームに滑り込んだのは15時を少し過ぎたぐらいだった。

「8HOTEL」は駅からものの2分程度の立地だ。しかも隣の建物の1Fに本日の会場のひとつ「THREE DICE」がある。

エントランス。工夫されていてセンスがいい。
入ってくるとまず正面にこのサインが。

8 HOTELは非常にいいホテルだ。

いいホテルというのは高級という意味ではなく、「湘南」というコンセプトを良ぉく練り上げて、リーズナブルでお洒落で、誰もが居心地の良い空間の演出がなされているホテル、ということだ。詳しくは「メシと宿とか」の「宿」で紹介することにしよう。

チェック・インしようとすると、チェック・イン・カウンターのすぐ横が、本日の会場のひとつ「8 Lounge」だった。早速ギタリストの竜功に発見されてしまう。

「お疲れっスー!」「ホイ、お疲れー。今日、ここに宿取ってもらってんだ。へへへ。」と少々照れ笑い。12Fの部屋までエレベーターで上がる。最上階だ。

12Fはクラブ・フロアで、11Fにはクラブ・フロア専用のラウンジがあり、そこでは営業時間内ならドリンクが飲み放題だった。そのフロア専用のカード・キーも渡された。超豪華という訳ではないが、このホテルの中では相当にいい部屋だ。こんないい部屋とってもらっていいのだろうか?でも結局僕はそのラウンジには1度も行かなかったのだけれど、、、。

後で聞いた話だが、宿を押さえてくれた渋には8 HOTELのスタッフに知り合いがいて、そもそもその繋がりもあり、湘南Luvでは8 Loungeをよく使わせてもらっているのだが、今回の宿泊に関しては、その知り合いにただ「ツインを一部屋取って欲しい」と伝えてあっただけらしい。ナイス!知り合いの人!

そんなこんなで荷物を下ろして、ひと心地着けて、時間が来るまでテレビで相撲など見ながら過ごし、17時ちょい前、現場となる藤沢駅南口周辺に繰り出したのだった。

ここから先の当日のイベントの模様は、WEBマガジン「湘南POW POW online」の方にライヴ・レポートという形で掲載している。良ければ併せてそちらの方もご覧頂きたい。

https://www.shonanpowpow.com/event/live-report-湘南luv-2023-藤沢駅南口block-party/

ここからはライヴ・レポートとはちょっと違う視点で、あの夜を時系列で追ってみよう。

まず最初の現場であるBUZZに向かった。

BUZZはキャバクラ的なお店が多いビルの一番上の6Fに位置している。1フロアに1店舗みたいな細いビルだ。小さいエレベーターがひとつとあとは狭めの階段。混雑時はかなり大変そうだ。

今回の5会場の中でも唯一のクラブ的店舗。他の会場が理解ある店主さんの了承の元、通常とは違う営業させてもらっているのに比べ、ここはDJプレイの専門店だ。常設のスピーカー・システムもフル・レンジ+ベースが2発が2基、とスペースに見合うスペックとしてはかなり余裕がある。

最初のイベントがキッズ・ダンスなのだから、当然ながら店内はちびっこに占拠されている。居場所に困り、ブース脇の小さな椅子にちょこんと腰掛け、本番を待った。

キッズ・ダンスの本番は非常に可愛らしくとても良かった。子供の習い事シーンの中でも、湘南では、HIP HOPダンスよりもレゲエ・ダンスが盛んなのだとしたら、それはとてもいいじゃないか。

ハイっ、伸び〜。
Willie Bounce !!

8HOTELに戻ると、奥さんはしっかりいつも通りのルーティンであるお風呂を済ませ、8Loungeで既に呑んでいた。それでいいんです。もう最近じゃあクラブ・イベントなんて行かないんだから。たまにはこうして気持ちよく楽しんでもらいたい。

KING LIFE STARのKOOLIOが回していた。

何かカッコよくなったなあ。

KOOLIOは、KING LIFE STARに参加する前には長らく小田原に住んでいた。ウチの奥さんもよく知っている。再会を喜んでいた。スウィートめな選曲のKOOLIOのプレイもまた彼女のお気に入りでもある。

湘南のレゲエの現場は女性が大変多い。しかもちょっと前のギャルたちだ(失礼!)。彼女たちはずうっと湘南のレゲエで馴染んできた常連さんたちである。だから出立もそんなにレゲエレゲエしてなくて、半分サーファー・ガールみたいなファッションの人が多い。それって湘南レゲエの特色だとも思う。モッサイ男たちが屯しているより100万倍いい。いつもありがとうございます。

ここで小田原からマサヒロが到着したとLINEが入った。来るかも知れないと言っていたのだが、意を決して来たらしい。御殿場線沿線の住人のヤツは帰りは国府津からタクシー覚悟である。

マサヒロと合流し、僕自身の本番も控え、今のうちにメシを喰っておかないとマズイなって話となった。奥さんと3人で、夜の藤沢駅南口界隈を他の会場の位置関係なども確認しながら歩く。

ちょっと空気が寒々しい。この日は少し風も強かった。

しばらく徘徊した挙句、結局吉野家で牛丼を食べてしまった。ちょっとした居酒屋に入ることも考えたが、次に見届けなければならない「超高級居酒屋お大尽」でのライブのスタートの時間も迫っていた。それに僕が吉野家食べたかったのもあった。勢い余って大盛を食べてしまった。

お大尽の前まで行くと、小田原ファミリーのサヤカ、サキちゃん、サクラと遭遇。サヤカとサキちゃんは母娘で、サクラはケイシロウの、マルちゃんよりもっとずっと大きい娘である。小田原No.1パリピ・チームだ。

お大尽は既に地獄の様に混んでいた。いや無理だろ、これ。普段だったら絶対に足を踏み入れない領域だ。こんな時、サヤカたちが居てくれて良かった。奥さんと一緒に居てくれるだろう。今夜はここに突入だ。

小一時間ぐらい揉まれて、やや茫然自失の状態でお大臣から脱出した。途中ケイシロウがカウンターの中にいるのに気付いた。しまった、オレもあそこに居たかった。NANAJAMANが「お帰りモロくん!あとで一杯やろやー!」なんて言ってくれていたのだが、それに応える余裕も無かった。

いや、有難いんですよ、こんなに沢山お客さん来てくれて、楽しんでくれて。何と言っても3年振りの湘南Luvなのだから。

気が付くと、奥さんもマサヒロもサヤカもサキちゃんもサクラも居なかった。

8HOTELに戻ると奥さんは寝てはいないがベッドに入っていた。もうすくTECO7での僕自身の本番に向かわなけれなならない。僕の本番など別に無理してくる必要はないと伝えたのだが、最初だけでも顔を出すと言うのでの2人でTECO7に向かった。

混み合うTECO7のバーカン前。


この日僕が用意した曲のテーマは「70年代にいち早く世界マーケットで認知されたレゲエ」みたいな感じ。必然的にルーツ・ロック・レゲエになる。実行委員会内での事前ヒアリングにて「ドンモロ、レゲエ掛けるべし」となったからだ。でもまあそれで正解だ。40分テクノ掛けてせいぜいも4〜5曲だし、みんな店から出て行っただろう。

別にレゲエが嫌いになった訳では全然ないが、この数年はもっぱらDub Technoを追求することに明け暮れている。4つ打ち完全素人の状態から、誰に教えを乞うでもなく、独自のルートでアンテナ立てて、感覚を磨いて来たのだ。Dub Technoの正解も常識も流行も知らない。でも多分、Sound Cloud、Bandcampを主戦場とする、あの世界にはそういうのはあまりないと思う。そういうのがない、自由なところが好きなのだ。

でもそんな理屈は今夜の現場のレゲエに飢えたレゲエ人間たちには全く通用しないのだ。

TECO7もまた満員御礼の状態だった。DJブースまで近寄ることも出来ない。仕方ないので奥さんに「お店のカウンターの裏から回る」と言い残し、突入した。

今日この現場ではBRAIN BUSTERのタロウと一緒だ。言わずものがなかつての僕の相棒である。

僕が抜けるという形をとってタロウは一人でBRAIN BUSTERの名跡を継いでくれたが、これで良かったのだろうかという思いもある。

そういう思いもあるがBRAIN BUSTER存続のためには選択の余地もなかったと言えばなかった。でもまあ結構自由に存分にサウンド活動を楽しんでいる様だから良かったのだろう。今回TECO7で一緒になるから、そこでゆっくり話して呑めばいいか、などと思っていたのだが、あの夜はそういった夜ではなかった。

久しぶりにパツンパツンのレゲエの現場でひとり回しひとりMCで40分ぐらいやったった。

まあまあ空気を変えてしまったが、緊張もしなかったし、空気を変えてしまうことも全く怖くなかった。むしろ変えたった。今の僕がひとりでレゲエ掛けて喋るって言ったらあんなもんだろ。それなりに納得している。いつの間にかマサヒロがケイシロウと2人で僕のプレイを見守ってくれていた。

ちょっと色調加工し過ぎですかね。
この後マサヒロは帰って行った。

本番を終えてTECO7を出た。奥さんは途中から見えなくなったのでホテルに戻っているのだろう。

取り敢えず一度荷物をホテルに置いて来ないと動きづらい。お大尽で紅谷町ラガマフィン倶楽部の本番が終わったら頃には、またここTECO7でタロウの出番だ。その頃に戻って来ようかなんて思ってはみたものの、この夜、僕がTECO7に戻ることはなかった。

戻る途中にお大尽があるので当然寄ってみる。さっきよりも混んでいる。ライブ・レポートのこともある。取り敢えずホテルに荷物を置いてこよう。と思ってはみたものの、この夜、僕がお大尽に戻ることはなかった。

8HOTELの隣にTHREE DICEがある。史朗がPAやってるHIP HOPの会場だ。さっき寄った時も結構熱いライヴやってた。ちょこっと覗いてみたが、ここもぎっしりHIP HOP HEADZでガチガチの男塾状態だった。ま、取り敢えず荷物置いて来よう。当然、この夜、僕がTHREE DICEに戻ることはなかった。

推定午前1時頃、僕は8HOTELの部屋で荷物を下ろした。

そしてそのまま靴を脱いだ。ジャケットを脱いだ。ズボンも脱いだ。風呂に湯を張った。そして入った。

ちょっともう限界かなあ。オレ病人だしなー。

そう、この夜、僕が夜の藤沢の街に戻ることはもうなかったのだった。

ごめんね、渋。

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