ハイヌミカゼ/元ちとせ
- サンゴ十夜
- ワダツミの木
- 夏の宴
- ひかる・かいがら
- 心神雷火
- 37.6
- 初恋
- ハイヌミカゼ
- 君ヲ想フ
- 凛とする
「神の声」と称される歌声の持ち主、奄美大島出身の元ちとせの2002年リリースのファースト・アルバム。
メロディの中で自然に地声とファルセットを使い分けるという、日本の民謡の中でも稀な唱法の技巧を用いる奄美の島唄の名手でもある。
とにかくレゲエ・アレンジのメジャー・デビュー・シングル「ワダツミの木」が印象深い。
この頃、日本の音楽シーンでは攻めてる女性ボーカルはレゲエやダブを採用することが多かったと思う。UA、Cocco、中島美嘉、Sugar Soul、Reyona、小泉今日子もやっていた。個人的に最近その辺の曲を収集していて、その流れでこのアルバムもゲットした。あくまでジャパレゲ・アーティストのやる本物のレゲエではなくて、攻めてる女性シンガーがやるレゲエっぽい曲だ。
そんな中でも「ワダツミの木」は、ルーツ・レゲエのテンポに島唄のボーカルが乗るというミクスチャー感が際立っていて良かった。プロデュースが元レピッシュの上田現とのことなので腑に落ちる。
アルバム全体通しても、そのワールド・ミュージック・ミクスチャー感が貫かれている。島唄の唱法は全開だが、リリックは基本的には方言ではないので、難解にはならず、バランスがいい。アコースティックな仕上げのバック・トラックが醸し出す雰囲気もいい。
基本全部いい曲なのだが、歌詞が印象的なM5、さりげなさがいいM7、後半の盛り上がりがカッコいいM8から続くM9、M10の終盤の流れなどが好きだ。
ご本人は現在は奄美大島在住で、ほとんど民謡の活動にシフトしている様だが、それもいいと思う。いつか奄美大島を訪れて民謡のライヴを見てみたいと思った。
因みにだが、デビューから10年後の2012年に配信のみでリリースされた、スライ&ロビーと制作した完全なるレゲエ・バージョンの「ワダツミの木」もある。こっちは少し大人な感じで、オリジナル・バージョンより滑らかというか、スムーズな歌い方をしている様に感じる。
こっちもいい。