Episode 2 : 豚ホルぅ、SPATSぅからのぉ、マーックス。
日が長くなったものだ。17時台ではまだまだ明るい。今夜は太郎と「炭火焼ホルモン 九十九」で待ち合わせている。
「18時」とこっちから言っておいて何なんだが、ゆっこさんの準備がReadyの状態になった時点で迷わず出発。徒歩5分ぐらい。17時20分ぐらいには店に着いてしまった。「もうお店に居るよ」と太郎にLINEする。
太郎は言わずものがなの僕の元相方で、かつて僕がやっていたサウンド “Brain Buster” の後継者である。現在は一人でその名跡を継いでくれている。なんかヤクザみたいな物言いになっちまったぜ。
前回太郎と顔を合わせたのは11月の湘南Luvの時だ。
その時は5会場ある中で、お互い同じ「Teco 7」という店でプレイすることになっていたので「まあまあそこでいろいろ話す時間もあんべ」ぐらいに考えていたら全然そんな風にはならず、自分の出番にアホみたいにパンパン入った客を掻き分け狭いブースに辿り着くのが精一杯であった。多分あの現場で僕はインフルエンザをもらったんだと思う。
余談だが、太郎に例の「mixshowの#9のレゲエ・ミックスを何か知らんが絶賛してくる外人のグラマラスお姉さんがいる話」をして、その人の写真見せたら「間違いなくフィッシングですね」と言われた。
やっぱそうか、、、。
ホルモン、久しぶりだなー。
名古屋でも豚タンはそこそこ美味しいのがあった。関東風モツ焼きも徐々に広まっている。
でも何故かホッピーを扱って無かったり、まあコダマ・サワーの割りものはない。でもしそバイスは御器所の「今ここ」にはある。その他、カシラはまああるけど、ハツに関しては、ここ九十九の熟成漬け込みのハツの様なものは当然無い。それはしょうがない。
シロは無い。シマチョウとか牛ならあるけど豚はないし、牛の腸はシロとは呼ばない。豚はトンちゃんと呼ばれる味噌味だ。それはそれで美味しい。トンちゃんの方が昔から名古屋にあるホルモン文化なのだと思う。
所変われば食文化も変わる。それはそれだ。
でも今夜はオーダーしよう。タン2、ハツ1、カシラ2、レバー2、シロ1。それにシシャモに大根サラダ、玉子焼き、自家製厚揚げ、枝豆、冷やしトマト。などなど。
来れないはずだったマサヒロも遅れて合流して、4人でキンミヤのボトルを3本ぐらい消費した。
だからと言うのも何なんだが、食事の写真はほとんど撮ってない。オレの意識なんてもんはそんなに高くない。楽しい時はブログのことなんてすぐ忘れてしまうのだ。
今夜はまだ続きがある。
プチ・サプライズがあったのだ。なんとウチの姉ちゃんこと実の姉が、途中から呑みに参加するという。これまでにこんなことはあっただろうか。「Live Lounge SPATS」に行きたいと言うのだ。
「SPATS」とは、僕がこれまでも大層お世話になったジャズを中心とした様々な音楽ライヴを提供してくれる小田原老舗のバーで、マスター福田さんがウチの姉ちゃんの中学の時の同級生なのである。つまり僕にとっても先輩なのだ。
そのSPATSがこの度めでたく40周年を迎えるにあたり、同級生のための大同窓会を湯本フジヤホテルで企画されたのだそうだ。それで姉のところにも連絡が入り、この際、僕と奥さんがいるうちに自分も1発呑みに行きたいと言い出したのだ。
正直言ってこれはレア・ケースだ。九十九でお勘定を済ませた後、太郎もマサヒロも一緒に姉を迎えに行き、SPATSに乗り込んだのであった。
僕はもうかなりいい感じに仕上がっていた。
最初5人でテーブル席に着いたのだが、途中から姉と奥さんは二人でカウンター席に移動して女子トークに興じていた。
するとしばらくすると姉に呼ばれた。何かと思ったら、いつの間にか2人は外国人観光客と思われる男性と話をしていたのだった。
奴の名はマックスウェル。シカゴから来たメキシコ系のアメリカ人。シカゴと聞いてすかさず、ぐるナイに前までよく出てたユメちゃんとかいう女芸人の「シカゴー」の「C」のポーズを取ってやった。
日本のカルチャーが大好きらしく、翌日の夕方の便で帰国するらしい。最終日に小田原に来たはいいが宿は取ってなく、「MANGA KISSAぁ?」にでも泊まるつもりらしい。
姉に通訳しろみたいに言われしばらく英語で話していたが、慣れてきたらコヤツ、結構日本語を理解していた。かなり仕上がっていた僕はいろいろと教えてやった。
「Netflix見てるか?あれの“忍びの家”ってのは小田原が舞台だぞ」とか「ニンジャなんていないけど。強いて言えばあれはスパイみたいなもんだ」とか「サムライってのはあれはエド・ピリオドにおいては役人みたいなもんだ。ウォリアーだったのはセンゴク・ピリオドまでだ」とか。エヴァが好きだっていうから「箱根にレイク・アシってあるだろ。あそこにNERVがあったんだ」とか。
場所を変えようということになった時点でマサヒロが終電を逃していた。
何やってんだよぉぉ。小田原駅発最終の東海道線上りは23時31分。マサヒロの使うJR御殿場線はそれに乗って国府津乗り換えで23時42分。接続してたのにぃ。かぁぁぁっ。姉ちゃん宅にオレたちと一緒に泊まってけっていうのに「イネが心配だから歩いて帰ります」みたいなことを言う。イネとはマサヒロん家のワンちゃんだ。ここからマサヒロん家まで推定徒歩で2時間弱か。今の僕には歩けない。
とりあえずソウル・バー「Shalamer」に向かった。ソウルは当然SEOLでは無くSOUL MUSICのソウルだ。
向かう途中、酔っ払った「鶏の三平」のマスター郷さんを発見し、肩を組んでShalamerに入店し、「茂呂くぅぅん、おれ今日もう酔っ払っちゃったヨォ」と言うマスター石川くんの弱々しい肩を掴んで爆笑していたのだが、マックスはここは嫌だと言う。もっと日本らしいことを体験したのだと言う。
しゃーない。場所を変えるか。まだ何も頼んでない。石川くんゴメン。
和風な居酒屋を求めて彷徨った。気付いたらマサヒロは本当に歩いて帰った様だった。
時刻は何時ぐらいだったかよく分からない。深夜料金を15%も取る24時間営業の居酒屋「目利きの銀次」に突入した。
「そんなに日本がいいなら日本酒呑んで塩辛を食え」と言うことで、まず僕が見本を見せる。塩辛を投入し、すかさずポン酒を口に含む。「マリアージュだ」と言ってやったが最初分からなかった。マリアージュはフランス語か。「チーズとワインみたいなもんだ」と言ったら少し分かった様だが、あまり好きではなかったみたいだ。同様にしめ鯖を口に入れてすかさず酒!っていうのもやらせてみたが、塩辛ほどではないがこっちもあまり好きではない様だった。
太郎は連絡先を交換してたみたいだ。僕はSound Cloudのアカウントを教えてやった。おれのミックスを聞け!マックス!
そんなこんなしている内に当初考えていたのよりかなりドープな呑み会になってしまった様だ。
漫画喫茶に無事チェック・イン出来るかどうかは知らないが、朝までこいつに付き合っている訳にはいかない。
「それじゃあなあ」的にマックスと半ば放置的にお別れして、姉ちゃん宅に帰ることにした。
午前2時半ぐらいに就寝。まあまあ面白い夜だった。奥さんにとっては姉と一緒に呑みに行ったのが楽しかった様だ。