Episode 2 : 間中病院からの早川トリップ
搬送先の間中病院に到着すると、母ちゃんはすでに処置室の中。誤嚥した喉の残留物を吸引器で除去し、血液検査をし、CTスキャンもしてもらっていた。
結果、血液の反応も肺炎を示す兆候は無く、CTの画像でも気管に詰まりなどは見当たらなかったとのこと。このまま今夜から明日にかけて発熱などなければ大事に至ることは無いだろう、とのことだった。
ひと安心である。
このまま誤嚥性肺炎で入院ってことになったとしても、今は我々夫妻がいるから対応出来るが、それはそれで計画していた予定を全てキャンセルせざるを得ない。それもしょうがないことではあるが。名古屋に移住以来、初めてのシリアス・シチュエーション。それが我々が小田原に滞在している間に起きた。
良かったとしよう。大丈夫そうだし。
という訳で、気を取り直して、気分転換と厄落としも兼ねて、再度早川に行くことにした。
駅でUターンから3時間後のことだった。ブリ刺しを携えて東海道線の下りに乗り込んだ。
毎度お馴染みのHAYAKAWA39CBDにやってきた。ケイシロウの奥さんもカズナも居て、子供たちも全員いた。
とりあえず緊張感から解放されてカンパーイ!僕は先月も来たが奥さんはだいぶ久しぶりだ。カズナとの再会を喜んでいた。
先ほども書いたがこの日早川はお祭りであった。歩いている途中にも登りが立っていたし、祭囃子も遠くに聞こえ、何となく祭りな空気が町中にも漂っていた。
4人の母親であり、PTAとか町内会にバリバリ参加しているカズナは、これから祭りの打ち上げ的な町内会の会合だという。子供たち、長女のマルちゃん、次女のコトちゃんもそれに行くのを楽しみしてウズウズしている。長男ツキヨシのみ、スマホでドラゴンボールを見るのに夢中だ。
「ユッコさんも一緒に行きましょうよ!」
そんなノリでユッコさんは早川の町内会の祭りの打ち上げに行ってしまい、僕とケイシロウ。4歳児ツキヨシ。初対面の謎のお祭り男カズ。男だけが店に残った。小田原のブリ刺しを食いながらまったりしていた。
この時に食べた小田原のブリ刺しは、魚として普通に美味しいのだが、ブリと言うよりはもっと若いワカシぐらいの弾力と味わいだった。別に魚として美味いし、漬けなどにしたら最高だとは思うのだが、脂ノリノリのブリの味のイメージからは遠かったかも知れない。
しばらくするとまた僕の知らないケイシロウの早川在住の後輩くんが倅を2人連れて来店。彼の奥さんも打ち上げに行っているので、その間、ここに来たらしい。
新たに自分よりちょっと上のお兄さんが2人もやって来て、それまで話しかけても上の空だったツキヨシが覚醒した。
チビ3人でワーワー言いながら走り回っている。
そのうちに、店の外にあるトイレのうち、女子トイレがインロックされてしまう事態が発生。ケイシロウが「トイレの花子さんがいるんじゃね」とそそのかすと、チビたちは「チビっ子心霊探偵団」となって、ワーワー言いながら女子トイレへのアタックを繰り返し始めた。
ギャーギャー言いながら心霊スポットへのアタックを繰り返す彼らを見ていて、男っていう奴はいつの時代もガキの頃からこういうことが好きなんだな、と思い、新耳Gメンを思い出していた。
「新耳Gメン」とは、怪談本「新耳袋」に登場する心霊スポットに実際に乗り込むという企画の映像作品の中で、霊の姿を映像に収めるためにその現場で挑発行為を繰り返すという無謀な男たちである。
そのGメンの中で、最も身体を張ってオバケに挑んでる男がギンティ小林である。
僕は相変わらずギンティ小林の著書「新耳袋 殴り込み」を読んでいる。1巻2巻は先月小田原のBOOK OFFでゲットし、入院中の3日間で読み切り、退院後にすぐYahooショッピングでPayPayポイントで残りの3巻4巻も購入した。
更にギンティ小林最新刊、2023年に刊行された「ばちあたり怪談」をも読んでしまった。
そして今またアマプラで映像の「新耳袋 殴り込み」シリーズを1作目から見ているのだ。全部一回見たことあるのに。でも書籍版を読んでからまた見るとまたこれが面白いのだ。
とにかくギンティ小林はオモロイ。めちゃくちゃオモロい。アホだ。多分今55歳ぐらい。史朗と同い年だ。僕は今やこいつの大ファンなのである。
それは全然いいのだが、、、。最終的には僕がゾンビになってチビどもを怖がらすという遊びをやって、すごく面白かったが疲れた。
町内会の打ち上げが終わった頃に早川では有名なラーメン居酒屋「ラーメン庄太郎」に移動した。先にカズナと子供たちはこっちに移動している。
早川は町中華のレベルが高いと思う。思うと言っても思い当たるのはもう1軒「味よし」という店しかないのだが。
庄太郎は居酒屋メニューが豊富だ。刺身、揚げ物、珍味、なんでもある。早川は柑橘類の産地なので、普通のレモン酎ハイでも、そのレモンが美味しい。
店には多くの早川ピープルが日曜日の晩餐を楽しんでいて、なんだかスッゲー知らないところに旅に来ている様な感覚に陥ってしまった。
やはり地域の人ばっかりが来ていたからなんだろう。なんかその雰囲気に酔いが加速した。
いい感じに酔っ払った。もう締めよう。ラーメン食べて締めるのだ。ケイシロウは岩海苔チャシュー麺を頼み、僕は岩海苔ラーメンを頼んだ。名古屋にいる時とは比べ物にならないほど喰ってる。岩海苔まみれの麺を啜って、帰ることにした。
なんだかんだ言って波乱の1日だったが、最後は結構訳の分からない感じになって面白かった。
母ちゃんは大丈夫かな。
明日の朝、発熱がなかったら1日そのまま家で安静に過ごす。熱があったらもう救急車呼んで入院である。どっちにしてもデイ・サービスには行けないので、我々は明日裁判が終わっても伊豆に出発出来ないのは確定だ。
それもしょうがない。その代わりに今日遊んだのだ。それでいいじゃないか。
姉ちゃん家に着いて、結構最後の方は記憶があやふやなぐらいの感じでソファーに寝転んでそのまま爆睡してしまった。
姉が鍵を掛けてしまったらしく、途中1人で駅前のバー「E-Zee」に寄っていたユッコさんが帰って来たのにも気付かず、しばらくの間、彼女を姉ちゃん家から閉め出してしまっていた様だ。
スンマソン。
価格:968円 |