MUSIC

サウンドスケープ / Daisuke Kazaoka

  • 1. はじまり – intro-
  • 2. ゆめ
  • 3. 水色の午後
  • 4. おもいで
  • 5. 島と口ぶえ
  • 6. 遅いミラーボール
  • 7. やさしい空に
  • 8. 回想 -skit-
  • 9. 一日の終わり

All songs written and Produced by Daisuke Kazaoka. All voice and instrumental by Daisuke Kazaoka.
Recorded, arranged, mixed and mastered by Daisuke Kazaoka.
Photo by Mayo Kobayashi. Designed by SHINJI ItoU. Management and A&R Shoma (5Window Freak).

愛知県出身の注目のSSW(シンガー・ソング・ライター)、Dausuke Kazaokaのファースト・アルバム。

作詞、作曲、プロデュースなんてものはもちろん、細かなコーラス・ワークを含む全てのヴォーカル、全ての楽器のアレンジ、演奏、それらの録音、整音、そしてマスタリングまで自らこなした、純度100%のDausuke Kazaokaの音世界。それが本作「サウンドスケープ」だ。

サウンド的にはレゲエ/ダブの影響を強く感じさせる。というか完全にダブである。なのに曲調やメロディ、彼のヴォーカルからは、日本の70年代フォークや、80年代シティ・ポップスの香りが漂う。

あまりに独自過ぎる。唯一無二の世界観である。

まずレゲエへの理解度が完璧で、その上で、レゲエというフォーマットに全く拘ることなく自由な発想で自分の音楽を展開している。

例えば現行のジャパニーズ・レゲエ・シーンであったり、その現場であったりしたことへの執着は全く感じられない。

その小さくまとまっていないところが逆にいい。いや逆とかでは無い。極々自然体で自分の音楽を表現している、そこがいいのだ。

単なるレゲエ好きのSSWではない。レゲエを理解している人間がSSWをやっている。そんな感覚だ。

多重録音であっても、ループを多用していないので、演奏にグルーブ感がある。特にドラムの様な打楽器よりも、手弾きのベース・ラインがリズムの要になっていて、そこがエレクトロニカの様な無機質ではない、オーガニックな響きに聞こえるのであろう。

例えば打ち込みの音であればいくらでも壮大な世界なんて作れてしまう。そうではない、人力の彼の作りたい等身大の音楽。そういったものを感じる。

ダブ処理もサイケデリックな感じと言うよりも、ファンタスティックな感じに聞こえてくる。

優しいのだ。

旅と自らの体験を綴ったと思われる歌詞も抒情的で、彼の世代、アラサーぐらいには共感出来るものだと思う。もちろん還暦の僕も共感出来る。

そして全ての楽曲がアレンジを変えれば、アコースティック・ヴァージョンにもなるし、80年代ソウル風シティ・ポップスにもなってしまうと思う。歌のメロディ・ラインにそういう普遍的な良さがあるのだと思う。

なんて思っていたら案の定、パッケージ商品のCDにはオマケのCD-Rが付いていて、先行シングルだったM3のアコースティック・ヴァージョンが収録されていた。

本作はまだまだ最初の名刺代わりなのだろう。

僕は本作のダブ・アルバムも聴いてみたいし、彼のインスト作品も聴いてみたいし、バンドとセッションしたものも聴いてみたい。

まだまだ可能性は広がっている。老後の楽しみが増えた様に思う。

なんでそんなに彼のおじいちゃんの様なことを言うのか。

それは彼が中学生だった15年ぐらい前に、アキソルのレーベル「錦コミュニケーションズ」の門を叩いた、あの風岡大輔くんであるからだ。

中高生の時にアキソルの薫陶を受け、NYの大学で音楽理論を学び、自力でミュージシャンとしての道を切り開き、この作品を届けてくれたからだ。

その音楽が僕の想像力を遥かに超える形態のものだったからだ。

しかも舞台音楽を手掛けていたり、そのライヴは、言ってみれば「ダブの弾き語り」的な、前代未聞な感じのことをサラッとやっている様だ。


これからも決して小さくまとまらず、変な誘惑にも負けず、可能性を信じて、音楽を表現していって欲しいと、切に思うのであった。

https://ultravybe.lnk.to/soundscape

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