再びみずがき山へ。NUDE Vol.3
毎年恒例、今年もNUDEの季節がやって来た。
NUDEとは、世田谷梅ヶ丘のカフェ・レストラン&バー [Quintet] が主催するプライベート野外パーティで、2019年の下見の会を経て、2020年にVol.0からスタートして今回で4回目。
山梨県北杜市の「みずがき山リーゼンヒュッテ」というキャンプも出来る宿泊施設を借り切って30人程度で盛り上がっていたのだが、その施設が去年一度閉鎖されてしまい、2023年度は静岡県富士吉田市の「Peace One」に場所を移して開催した。
それが今年に入ってみずがき山リーゼンヒュッテが復活。晴れて再び戻って来たのであった。
とは言いつつも、僕自身に大きな変化があった。
名古屋に完全移住して、今回初めて単独で名古屋から中央高速を使って現地に入ることとなった。
東名と新東名ばかり走ってきた僕としては、中央高速を名古屋から東京方面に上っていくという行為そのものが、多分人生で2回目ぐらいの出来事だし、距離感が掴めない。
地図アプリによれば、名古屋の自宅から現地まで大体250キロ。時間にして約3時間半と出ている。
因みに去年の会場である富士吉田のPeace Oneキャンプ場までは、名古屋の自宅から大体270キロ、時間にして約3時間10分で同じぐらいだが、去年は別件で小田原に滞在中に、小田原起点で富士吉田を往復したので、距離にして片道72キロで、かかる時間は90分、と楽だった。
それに2020年、2021年は、小田原から北杜市に向かっていたので、距離にして180キロ、東名〜圏央道〜中央高速経由で時間にして2時間40分程度だった。
なので今年からプラス130キロ、プラス1時間が加算されることとなる。
参考までに、名古屋から小田原までだと大体260キロで、3時間20分。今回のルートと同じぐらいだ。
更に大きな要素として、以前は機材車として史朗と一緒に移動していたので、高速代、ガゾリン代は経費だったが、今回から丸々僕個人の負担となる。なので割り勘を求めて、名古屋から一緒に行く人間を何人が探してみたのだが、結局居なかった。
高速代1万円ちょい、ガソリン代も恐らく1万円ちょい。この辺の一人負担がかなり大きくのしかかってくるよねえ〜。
などと思いながら9月21日の土曜日、単身キャラバンくんに乗り込んだ。
小牧ICから中央高速に乗って間も無く、土岐までの区間が工事渋滞中だった。抜けるまでに40分程度。渋滞してると眠くなってくるよね〜。
もう眠くて何か訳の分からないことをブツブツ独言始めてしまっていたので、渋滞抜けて早めに恵那峡SAに緊急避難。メガシャキを買って飲んで眠気を振り払い、再びハンドルを握った。
そこから走ること2時間ぐらい。左手に諏訪湖が見えてきた。諏訪湖SAで休憩することにした。
よく分かってなかったが、諏訪湖って長野県の中でも結構山梨県寄りに位置していることを知った。ここから高速を降りるべき出口の長坂ICまではさほど遠くはない。
諏訪湖と言えば諏訪大社だし、諏訪大社と言えば、御柱祭の下社の木落としだろう。「なまはげ柴灯祭(秋田県)」「吉田の火祭り(山梨県)」と並び称される日本3大奇祭のひとつで、人を乗せた巨木を山から落とすという、割と死人のよく出る祭りだ。
あと湖が全面凍結する冬に、昼夜の温度差で生じる氷の膨張で湖面に巨大なひび割れが生じる自然現象「御神渡り」など、諏訪湖は結構怪奇ムードに溢れ、興味深い。
どこにあるかはもう分かった。これでいつでも諏訪湖には来れそうだ。
長坂ICを降りてから増富温泉郷へと続く増富ラジウム・ラインという街道を進む。と言っても全然普通の道なのだが。
日帰り温泉の増富温泉はリーゼンヒュッテの関連施設で、ここに来るとみんなで必ず入浴していた。25℃ぐらいから35℃ぐらいまで温度の違う浴槽が5種類ぐらいあって、いい風呂なのだ。
それに放射線で温めるラジウム泉なので、前立腺癌に効きそうだから入りたかったのだが、施設改修のためお休み中だった。
ガ〜ン。
なんて駄洒落を言ってる間に到着した。
当初、あまり天候が思わしくなかったのだが、開催日が近づくにつれ、好転していった。今夜は雨が降ることは降るだろうが、大したことにはならなそうだ。大雨になったらスピーカーは1日目終了後に一旦機材車に戻す手筈になっていた。
山で爆音。
史朗の所有するMicro Tacs Sound SystemもTaguchi製のエンクロージャーではあるのだが、フラット・ユニットではなく、謂わゆる従来からのコーン型のスピーカー・ユニットを使用している。
フラット・ユニットは繊細な音のきめ細かさがあるが、負荷がかかり過ぎるヘヴィな爆音にはあまり向かないかも知れない。
従来からのコーン型のスピーカー・ユニットは丈夫でもあるし、これはこれでタフないい音が鳴る。
音の反射のない、広い空間に向けて放たれた爆音は気持ち良かった。
周囲に住居はないから迷惑はかかってないと思うが、川沿いのいい感じのスペースで車中泊しようと思ってた方々は、今日明日は場所を変えたほうが良さそうだ。
そんな感じで初日の夜は更けていった。
2日目。
朝起きて、食パン8枚切り2袋分のホットサンドを作って、その辺をウロウロしている奴らに支給する。
今回の献立は、まず昨夜のライス&ピーズにジャーク・チキン。ライス&ピーズとジャーク・チキンを作るのはもう飽きたのだが、9月の初旬の小田原滞在時にマサヒロの奥さんサッちゃんが苗から育てたスコッチ・ボネット・ペッパーをもらったので作ってみた。
最近はスコッチ・ボネットを栽培する人が増えたので、割と入手しやすくなったが、それでも八百屋で売ってる様な代物ではない。
ライス&ピーズを炊く時は、辛さを求めるのではなく香りづけのために丸のまま一個スコッチ・ボネット入れるのだが、今回はそれが出来る。なのでやってみた。米はバスマティ米しかなかったので、それを使用したがまずまずの出来栄えであった。
それと昨夜からカリーはまた作りまくっている。でもカリーの写真は1枚も撮っていない。
今年はパクチーが不作なのだ。いつもならドバッと刻んだパクチーをぶっかけて提供していたのだが、今年はパクチーが売ってもいない。幡ヶ谷でタイ料理店を経営しているかつての同僚慶松によれば、今年は暑過ぎてダメだったのだそうだ。
最近の僕のカリーは、スタートのスパイス、中のスパイス、仕上げのスパイスなどと、少し進化しているのだが、この現場ではコンロが一個しかなかったので、全部最初からブチ込んで作った。入ってないよりいいだろう。
それとこの日の昼飯用にマルタイ棒ラーメンを買っておいた。これは6食分かしか無いので、多くの連中が温泉に出かけた時に、史朗と2人だけで食べた。
それと最後の日の朝用にパンケーキのクリームチーズ&マーマレード・サンドを用意しておいた。
何故、そんなにも?
ただ自分がやりたかったからだ。それだけである。
余談だが、最近の自分の写真を見ると、見た目がちょっとオバサン化して来ている様な気がするのだが、気のせいか?
何つっても前立腺という男性特有の臓器の病気なので、進行を抑制するために男性ホルモンの分泌を抑える薬を処方される様になって、もう丸2年と半年近い。女性の更年期でよくあるらしい「ホット・フラッシュ」という、一時的に汗ばむほどに体温が上昇する現象は、ちょいちょい僕にも起こる。
まあ、しゃーないか。荒々しい感情が少なくなって、温厚になった気もするので、良しとしよう。
今日はDJの出番がある。ガッチリ音に没入して好きな音楽を聴かせるぜ!
そうやって、こんな時だからこそ、ただ本当に音に没入したいのに、僕の出番になると史朗がチョロチョロ僕の周りをウロウロして、何やかんやと世話を焼いてくる。
気持ちは有難いので「もういいから!」とは言えずに苦笑いだ。
そんなこんな2日目の夜もいい感じに更けていった。
去年のことを思い出すと、2日目もはしゃぎ過ぎて、最後もう帰るという時に非常に疲れを感じてしまって、小田原に戻って、姉の家でそのまま倒れ込む様に昼寝をこいて、寝返り打った時に眼鏡を破壊してしまったいうことがあった。
今年は富士吉田〜小田原ではなく、ここから名古屋まで一人で一気に帰らなければならない。
音が止まった後も、主催者であり、SRF明宝のスタッフ時代からの盟友村田さんのテント周辺で大いに盛り上がっているのは分かっていたが、僕は一人、部屋に戻った。
実際、最近、疲れやすいのだ。
施設の自販機で缶チューハイを1本買って飲みながら、昨日の分も見ていなかった大相撲中継のハイライトをNHKプラスのサイトで見ると、14日目で既に大の里が優勝していた。
最終日の朝。
もうほとんど片付けは済んではいたのだが、車には積み込まずにおいた。最後のパンケーキを焼くかどうか。焼ける余地を残しておいたのだ。
案の定、お嬢様方が食べたいと言う。
そこから再び道具を取り出して、僕が焼いて、ヒナノの彼氏がクリームチーズとマーマレードを塗って、ヒナノがスピーカーを片付けてる史朗たちに支給する。
他の場所からレーズンパンのトーストにフランクフルトを挟んだサンドやら、Quintetスタッフのスーの淹れてくれたコーヒーなどが回ってくる。
結構、楽しい朝食だった。結構お腹いっぱいである。
全ての片付けが済んだ11時半頃、残っていたみんなに別れを告げて、帰路に着いた。
今年も楽しませてもらったが、頭の片隅に「来年は参加出来るかなあ?」などと、若干弱気な気持ちも存在している。
このイベントは言ってみれば普通のBBQパーティーに、僕と史朗が本格的な機材を持ち込んだことで一気にフェスみたいな形になった。これで音がしょぼかったらガッカリなことは言うまでも無い。
史朗は元々このメンバーの仲間では無かったが、僕が巻き込むことで順応した。まあ、元々順応性の高いヤツではあるのだが。
僕が降りたらヤツも降りてしまうのだろうか?その辺は責任を感じてしまう部分ではある。
でもなあ。少し考えちゃうよなー。だってオレって一応癌患者じゃん!
中央高速に乗って、八ヶ岳SAからゆっこさんに1本電話。もう帰ってるから心配要らないと告げて、半生ほうとうをお土産に購入する。
我々夫婦は結構ほうとうが好きなのだ。
15時半過ぎぐらいに無事に名古屋に辿り着いた。3回SAに寄ってる割には早かったと思う。
まあ、今年は今年で楽しかった。しばらくはあまり深く考えずにそれだけでいいか。
名古屋に戻ると若干暑さは収まってきていた。
遅れていた彼岸花ももうそろそろ咲きそうな予感だ。