GOLDEN★BEST / SPECTRUM

#1-CD
- アクトショー
- ファースト・ウエイブ
- クェッション ’81 & ’82
- トマト・イッパツ
- パッシング・ドリーム
- メモリー
- ロックン・ロール・サーカス
- モーション
- F・L・Y
- 侍S
- イン・ザ・スペース (In The Space)
- ミーチャン Going to the Hoikuen
- ソング
- サンライズ
#2-CD
- あがき
- Night Night Knight
- Paradise
- なんとなくスペクタクル
- Never Can Say Good-by
- たじろぎの英語教師
- ファンキー身体検査
- コンクールが近いよ
- F・L・Y(1991 Mix)
- In the Space(Super Remix Version)
- 夜明け(アルバ)(Dancing Mix)
- Act-Show(Super Remix II)
- Sunrise(Hyper Mix)
- トマト・イッパツ(Live Power Mix)
新田 “ヨロシク“ 一郎:トランペット、フリューゲル・ホーン、トロンボーン、ボーカル
兼崎 “ドンペイ“ 順一:トランペット、フリューゲル・ホーン、トロンボーン、コーラス
吉田俊之:トランペット、コーラス
渡辺直樹:ベース、ボーカル
西真嗣:ギター、ボーカル
奥慶一:キーボード、ボーカル
岡本郭男:ドラムス、コーラス
今野拓郎:パーカッション、コーラス
1979年から1981年までのわずか2年の活動期間にも関わらず、現在に至るまでの45年以上に渡って評価され続け、影響を与え続ける、偉大な8人編成のブラス・ロック〜ファンク・バンド、「スペクトラム」。彼等が残した5枚のオリジナル・アルバム、1枚のリミックス盤、1枚のライヴ盤からなる音源の中から、リーダー新田一郎氏が選曲して、2008年にCD2枚組でリリースされたベスト・アルバムである。
ファンク、ロック、ジャズ、ラテン、R &B、交響楽など多くの要素を取り込んだその高い音楽性に加え、全員が超人的なテクニックを有するスーパー・ミュージシャン集団であり、音源に収められたその演奏力は超絶だ。
しゃがれたロック系ボーカル、シティ・ポップス風のハイトーン・ボーカル、そしてフィリップ・ベイリー張りの男性ファルセット・ボイスという、3タイプのリード・ボーカル体制に、全員が参加する分厚いコーラス・ワークも激アツ。
また古代ローマの戦士とアメフトの装備を合体させた様な衣装を全員身につけ、ブラス3人、ベース、ギターのフロント5人が横一列に並んで、合わせた振りで踊るライヴ・パフォーマンスなど、当時の日本の時代性など考え合わすと、正しく桁違いにブっ飛んでいたとしか言い様のない存在。
少なく見積もっても10年は早かった、いや、20年、30年、いやいや、現在までもこんなバンドは日本に存在していないことを考えると、今だに現れていない、未来から来たバンドとも言えるかも知れない。日本音楽界の宝であり、奇跡である。

とは言いつつ、リアル・タイムでは、1979年は、僕もまだ中学3年生とかで、まだまだエレキ・ギターとディストーションを手に入れたばかりで、タブ譜のギター本で “Smoke On The Water” の練習とかをしていた頃なので、3管のブラスの入ったバンドなんて自分のイマジネーションを超え過ぎていて付いてはいけなかった。ただTVの歌番組で新田一郎がトランペットをグルグル回していたのを見た覚えがある。「すげー奴らだ」と言うことは分かった。
だからスペクトラムという存在は、知ってはいたが、長らく音源に耳を傾ける対象ではなかったのは確かだ。
なぜなら僕は、27歳から47歳ぐらいまでの20年ぐらいの間は、レゲエを生業としていてので、自分が聞くジャンルのレンジも狭かったし、何なら音楽を聴くこと自体が苦痛に感じる様な時期もあったからだ。
50代になって、少しレゲエから距離を置き、市民活動や環境系のイベントで音響の仕事をやる様になって、マルシェなどのBGMなどもついでに頼まれる様になり、ジャズやソウルなどをかけていたのだが、ある時、調子に乗って、プロレスの入場テーマ曲特集をやろうと思って、ネットで調べてiTune Storeで買いまくった時があった。
そんな時に外せなかったのが、やはりあのスタン・ハンセンの入場曲だ。
あの「デーデデ、デーデーデ、デーデデ、デーデーデ、バー、バババー、バババー、ババーバーバーバ」っていうやつだ。知らなかったのだが、あれはスペクトラムの曲だという。「エーっ!!??」って事で、購入して聞いてみると、なんとあの曲にはあの後、歌があって、その歌がまたカッコいいのだ。
スタン・ハンセンの入場時にとどまらず、長きに渡って日本のテレビで、あれだけバラエティ番組の乱闘シーンとかになるとかかりまくっていた、あの曲がだ。スペクトラムの曲だという。
速攻このCDをAmazonで購入した。多分2016年頃の事だったと思う。
それが最近になって、たまたま僕が普段見ないFacebookを開いた時に、ビクター・エンタテインメントの広告が目に飛び込んできて、スペクトラムがバスってるという。「マジ!?」と思ったが、またSNSを利用して大袈裟に物を言う情報操作だろうぐらいに思っていた。だがまたしばらくしてfacebookを開くと、再度同じ広告を見た。しつこいと思ったのだが、ちょっと気になったのでネット検索してみた。
すると昨年末にゲームを紹介するインスタか何かの投稿のBGMに、スペクトラムの [F・L・Y] が使用されて、そこで火が付いて、Tik Tokなどでも多く使われ、何と本当にバズってるらしい。ビルボードのJapaneseチャートで5位に入るなど、本当にブレイクしていたみたいだ。
率直に素晴らしい事だと思う。嬉しい事だとも思った。苦節45年だ。報われる時が来たのだとしたら、本当に素晴らしい。これを機会に多くの人がスペクトラムの音源に触れてくれればいいと思う。Spotifyで全作品が聴くことが可能だ。
メンバーの皆さんは大体だが、全員僕より10歳ぐらい歳上の方々だ。だから現在65〜71歳ぐらい。僕はこれまで何回か、10歳ぐらい上の方から人生の転機になる様なインスパイアを受けてきた。今の70歳ぐらいの人には遊びや音楽のフロンティアが多くいると僕は思っている。
「スペクトラム以前」「スペクトラム以後」と言うことが出来ると思う。
「スペクトラム以前」には、これまでストレートに黒人音楽を日本語表現に適合させた存在はいなかったと思う。時代性も感じさせるが、その言語感覚が素晴らしい。同時期のデビューにサザンがいるのだが、もうちょっとロック寄りで、それはさほど珍しくない。因みにスペクトラムとサザンは同じアミューズ所属で、「勝手にシンドバッド」をはじめとする多くの楽曲のホーンを「ホーン・スペクトラム」というスペクトラムの前身が務めている。パーカスの今野氏はKUWATA BANDのリーダーでもあった。
「スペクトラム以後」でなければ、例えば東京スカパラダイス・オーケストラの様にホーン・セクションが中心のインストのバンドが受け入れられることは無かっただろうと思う。しかもスペクトラムの場合、そのアレンジは、他のホーン中心のバンドとは比べものにならない程に、ハンパなく複雑かつスリリングでエキサイティングだ。展開の仕方がすごい。元々スタジオ・ミュージシャンとして、当時の日本の歌謡曲のレコーディングの多くを請け負ってきたプロ中のプロなのだ。
全員超絶上手いのだが、特に渡辺直樹さんの超絶チョッパー・ベースが耳に残る。上手すぎる。もちろんそこはドラムスとの神コンビネーションがあってことのことなのだが。
と言った感じで、祝・スペクトラム大バズり、の投稿でした。
個人的な話になるが、スペクトラムの思い出と言えば、2018年の年末、12月10日付近のことだったと思うが、当時まだアル中だったKニが、打ち合わせの下見に沼津に行くと言ってるのに、直前まで酒を呑んでいて、ベロンベロンの状態でウチに来て、現地に向かう車中でスペクトラムを掛けていたら、ノリノリになって「メモリー」という曲のコーラス部分をCDと一緒に叫んだ挙句、曲がブレイクした瞬間にタイミング良く気絶したことを思い出す。
とてもいい思い出だ。
![]() | 価格:3142円 |
