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新耳袋 現代百物語 / 木原浩勝+中山市朗

最近、新聞のテレビ欄を見ていたら、BS-TBSで、ある番組が目に止まった。

「怪談新耳袋 暗黒」。また新しいやつやってんのか。

で、この本を思い出したのだった。

僕は最近やたらホラー小説ばかり読んでしまう。そのきっかけとなったのが、この角川文庫版の「新耳袋」である。

「新耳袋」をBook Offで見つけたら買うというミッションを自分に課していた時期があった。

結婚して以来、年に2回、正月と7月の頭には名古屋に来ていた。正月タイミングの時は、2日は、川名のセカンド・ストリートがセールをやる。奥さんといつもこのセールを訪れるのが恒例の行事となっていた。

服なんてすぐに見飽きてしまう僕はすぐ近くにあるBook Offに行くのが、これまた恒例であった。こっちはこっちでセールやってるし。そんな時に目についたのが「新耳袋」である。暇つぶしに読むにはうってつけだ。

最初に買ったのがいつで、第何夜だったかは忘れた。順番はランダムでいいから見つけたら買う。それを続けた。

ひとつひとつの話は非常に短く、淡々とした、あえて感情を込めていない様な語り口で、怖い話をあまり怖くなく語っているところが、後からじわじわと怖さを感じさせる。

元々妖怪や昔話とか、そういったモノは好きだった。でも僕が好きなのは、ホラー小説というより、京極夏彦の小説なのだ。

京極夏彦の作品は、妖怪をモチーフにしたミステリー小説だったり、妖怪をトリックに使う必殺仕事人の時代小説だったりで、基本、妖怪や幽霊の類いそのものは出て来ない。だからホラー小説ではない。

「新耳袋」は実話怪談だ。第一夜から第十夜まであり、それぞれ99話づつ収録されている。一世を風靡した名作であるが、いろいろと曰く付きの作品群でもある。

元々は扶桑社より1990年に「新・耳・袋 あなたの隣の怖い話」として100話を掲載して刊行されたが一度絶版したらしい。

それが、1998年にメディア・ファクトリーから現代百物語「新耳袋」第一夜として、扶桑社版と同じ内容ながら、いくつかの話を統合して、99話に再編集して再刊行された。そしてシリーズ化され、2005年までに渡って第十夜まで続いたものらしい。

それがどういう経緯か知らないが、2002年からは角川文庫版も出る様になったみたいで、こっちは2008年に第十夜で完結した様だ。

2000年代に入ってからは映像化され、大きなブームとなった。

2003年から2005年にかけて第5シリーズまでショート・ムービー仕立てのテレビ・ドラマ化され、その後は2007年から2009年まで1時間のスペシャル版が制作された。2010年に再びショート・ムービーのシリーズ作品となった。

更に、ホラー馬鹿の作家や雑誌編集者、映像作家たちが、原作にある現場を訪ねるという無謀な企画の番外編のドキュメンタリー・シリーズ「新耳袋 殴り込み」というオリジナル・ビデオ作品まで作られている。

更に、2004年、2005年、2006年、そして2010年には劇場版として映画が制作された。

たまに未読の巻が読みたくなり、そういった時に、代わりにTVシリーズや、劇場版、番外編の「殴り込み」などをアマプラで見たりしていた。この未読のものを読みたい!という枯渇した欲求を満たすために、僕はホラー小説を読む様になったと言っても過言ではない。

TVシリーズや劇場版は当然のことながらかなり大胆な演出が施され、原作の淡々とした感じが好きな僕としては、別物の単なるホラー・ムービーといった感じで見ていた。それに引き換え、番外編の「殴り込み」は結構好きだった。

「新耳袋」と言えば最も有名なエピソードは、何と言っても第四夜に収録されている「山の牧場」の話なのではないだろうか。二人いる作者の一人、中山市朗さんが学生時代に体験した不可思議な建物の話で、形を変えいろんなところで紹介されている。割と最近でもフジテレビの「何だこれミステリー」でもやっていた。例の「殴り込み」では2回ぐらい現地に行っており、お約束の無謀さを発揮して、泊まり込みでロケしたりもしていた。

その他にもいろいろと有名な怖い話があるが書くのはやめておこう。何となく怖いから。

「新耳袋」は現代百物語と言いながら、各巻99話までしか収録されていない。古の百物語の作法では、一晩に百の話をすると怪異に至る、と言われている。それを避けるために99話で終わらせているらしい。だが、などと言っているが、冒頭の京極夏彦氏による「上」という序文には「読んでいるあなたの世界を合わせて100話になるのだ」と嫌なことを言っているのだ。ま、怪異なんて訪れるはずもないのだが、、、。

買い始めて数年して全10冊が揃った。一気にでは無いが全話読み切った。小田原に戻って本棚に揃いの10巻を並べていた時である。

第九夜がない。

全部揃ったと思ったのに。いつも何巻がまだ無いのかメモに書いて、常に把握して、探して集めてきたはずなのに。である。

怪訝な思いで僕は仕方なく第九夜だけAmazonで購入したのであった。

僕の単純ミスだと思うけどね。

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